ServiceNowの「インスタンス」とは何でしょう?この記事では、インスタンスとは何か、マルチテナントかシングルテナントか、インスタンスの種類、インスタンスの管理について説明します。
ServiceNowのインスタンスとは?
インスタンスとはユーザがアクセスする「環境」のこと
ServiceNowにおけるインスタンスとは、ユーザがアクセスする、いわゆる「環境」のことです。インスタンスのイメージを下図に示します。(一般的なクラウド版を利用している場合)インスタンスはServiceNowのクラウド上に存在し、ユーザや管理者はウェブブラウザから各インスタンスにアクセスします。
各インスタンスは個別のURL(サブドメイン)を持つ
各インスタンスは、個別のURL(サブドメイン)を持ちます。ServiceNowのサブドメインをそのまま使う場合、ドメイン名は”<インスタンス名>.service-now.com”となります。よく間違えられるのですが、serviceとnowの間にハイフン(”-“)が入ります。
各インスタンスはある企業に紐づいている
各インスタンスはある企業に紐づいています。ここでいう企業とは、ServiceNow社から見たときの顧客、つまりServiceNowを使っている・使おうとしている企業のことです。
ServiceNowのインスタンスはシングルテナント
SaaS等のクラウドサービスには、シングルテナントとマルチテナントという考え方があります。シングルテナントでは、サービスを提供するユーザごとにデータベースやアプリケーションサーバが論理的に分割され、互いに影響を与えることがありません。一方マルチテナントでは、これらのリソースを複数の企業が共有して使うため、互いに影響を及ぼす可能性があります。
ServiceNowのインスタンスはシングルテナントとなっており、企業ごとにリソースを論理的に占有しているため、他の企業のインスタンスの影響を受けることがなく、またよりセキュアだと考えられます。
ドメイン分離(Domain separation)を用いたマルチテナント利用
なお、ServiceNowではドメイン分離(Domein separation)と呼ばれる機能が存在し、一つのインスタンスを論理的に分割し、複数の企業(通常はグループ会社など)で共有する場合があります。この場合は、事実上マルチテナントで利用していることになります。
インスタンスには本番用(production)と非本番用(non-production)が存在する
インスタンスには、本番用(production)と非本番用(non-production)が存在します。サービス契約をすると、標準では本番用のインスタンスが1つ、非本番用のインスタンスが1つ、合計2つのインスタンスが払い出されます。
本番用インスタンスはSLAの適用対象であり、十分なリソースが割り当てられますが、非本番用インスタンスはリソースが制限されているため、本番よりもパフォーマンスが劣ることがあります。
インスタンスは追加料金を払うことで増やすことができる
インスタンスは追加料金を支払うことで増やすことができます。追加料金は本番用と非本番用で異なります。経験上、最低1つのインスタンスを追加し、開発(DEV)、テスト・検証(TEST, STG)、本番(PRD)の3インスタンス構成以上とすることが多いです。
インスタンスの管理
パッチの適用、バージョンアップなどのインスタンス管理はNowSupportというServiceNowのカスタマーサポートサイトから行うことができます。ちなみに、NowSupportもまた一つのServiceNowインスタンスです(自社のサービスのカスタマーサポートを自社サービスで管理しているということです)。
NowSupport上で自身が所属する企業と紐づくインスタンスを管理できる
NowSupport上では、各インスタンスと紐づく企業が管理されています。同様に、NowSupport上のユーザは特定の企業に所属しています。自身が所属する企業と紐づくインスタンスを管理することができます。NowSupportのユーザには複数の権限が存在し、権限によって表示される管理メニューが異なります。
主なインスタンス管理メニュー
主なインスタンス管理メニューは次の通りです。
インスタンスの状態確認
自身が所属する企業に紐づく各インスタンスのバージョンや、スケジュール済みのパッチ適用、バージョンアップの状況を確認することができます。
問合せ・質問・不具合報告
インスタンスに関する問い合わせ・質問・不具合報告などができます。
パッチ適用・バージョンアップ
インスタンスに対するパッチ適用や、バージョンアップができます。パッチやバージョンのリリースサイクルについては下記の記事をご覧ください。
インスタンス名の変更
インスタンス名の変更もNowSupportから依頼することができます。なお、インスタンス名には制約とルールが存在します。(参考: Instance rename policy for customers)
インスタンスの初期化(zBoot)
非本番環境に対してzBootと呼ばれる、インスタンスの初期化を依頼することができます。(参考: Requesting a non-production instance reset (zBoot) using the Now Support Service Catalog)
以上です。
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