(ServiceNowに限らずSaaS製品全般に言えることですが)製品選定や導入フェーズの際に「それってExcelでよくないですか?」という意見に出くわすことがあります。
「なぜExcelではダメなのか?」という視点を持たないと、データ管理の思考とレベルがExcelに制約されてしまいます。
本ページではExcelの劣位性(ダメなところ)と、ServiceNowの優位性(よいところ)を羅列してまとめたいと思います。
※今後も追加していきます
- Excelの悪いところ①:ファイルが散逸してしまうServiceNowの良いところ①:ファイルが1つの場所に集約される
- Excelの悪いところ②:行・列の追加を許してしまい、フォーマットに対してガバナンスを効かせることができないServiceNowの良いところ②:行・列の追加を簡単には許さない
- Excelの悪いところ③:セルレベルでの更新を把握しにくいServiceNowの良いところ③:セルレベルの更新履歴を完全に追える
- Excelの悪いところ④:すぐ挙動が重くなるServiceNowの良いところ④:処理がサーバ側で行われる
- Excelの悪いところ⑤:データがExcelの世界に閉じてしまうServiceNowの良いところ⑤:データが即座に他システムと連携できる
- Excelの悪いところ⑥:入力時のバリデーションを効かせるのが難しいServiceNowの良いところ⑥:入力規則を柔軟に設定できる
- Excelの悪いところ⑦:まっさらな状態から始めなければいけないServiceNowの良いところ⑦:業界のBest Practiceがすぐ利用できる
Excelの悪いところ①:ファイルが散逸してしまうServiceNowの良いところ①:ファイルが1つの場所に集約される
同じ名前の台帳なのにもかかわらず、亜種が会社内のファイルサーバに散在していることってありますよね。そうなると、情報を分析するにはまずすべてのファイルを集約するところから作業を始めなければなりません。
・「○○管理台帳_A部署」
・「○○管理台帳_B部署_ver1.12」
・「○○管理台帳_C部署_最新(××さんの更新待ち)」
・「○○管理_D部署_管理台帳_2021年3月分」
など…
※そうしてやっと集約したファイルも、すでに最新の情報を反映したものではなくなってることも…
情報は、1つの場所に1つのファイルでまとめておきたいですよね。ServiceNowであれば、1つのデータベースにすべての情報が集約されるため、ファイルが散逸することはありません。
(もちろん、今まで散逸していたExcelをServiceNowに集約する際の苦しみは確かに存在しますが、それは産みの苦しみとも呼べるもので、データのガバナンスを考える上では必要不可欠なものです)
Excelの悪いところ②:行・列の追加を許してしまい、フォーマットに対してガバナンスを効かせることができないServiceNowの良いところ②:行・列の追加を簡単には許さない
何も設定しない限り、Excelはどのユーザでも行・列を追加することができます。このExcelの柔軟性が災いして、誰かが追加した謎の列がずっと残り続けてしまう、あるいは、ある日突然ある列が丸々削除されて消えている、などの事象が発生します。
追加した当人が退職or退場していたりすると、列の要不要を判別することが不可能になり、結果としてファイル内のデータの秩序が失われてしまうことはよくあることだと思います(=腐る、などと表現される)
ServiceNowであれば、列(カラム)は基本的には管理者のみが追加可能です。追加する場合はServiceNowの設定変更が必要になるため、列の追加に対してガバナンスを発揮することができます。
また、行(レコード)の追加については、環境内の権限によって、追加できるユーザとできないユーザを区別することが可能です。
Excelの悪いところ③:セルレベルでの更新を把握しにくいServiceNowの良いところ③:セルレベルの更新履歴を完全に追える
何も設定しない限り、Excelはファイル単位の更新しか検知できません。よって、誰がそのファイルを編集したかは認識できますが、1セル単位でどのような編集が行われているかを認識するのが難しいです。
ServiceNowだとExcelでいうところの「セル」単位の変更履歴を全て追えるため、もし不用意な変更が発見された場合、犯人探しが可能です。
Excelの悪いところ④:すぐ挙動が重くなるServiceNowの良いところ④:処理がサーバ側で行われる
多人数で編集したり、いろいろな設定をすると、Excelの挙動が怪しくなるのは周知の事実だと思います。Excelは全ての計算をクライアント側で行っているため、クライアント環境が貧弱だと、Excelの挙動も貧弱になってしまいます。
ServiceNowはクラウド上のサーバでデータの配置と処理が行われており、大規模なデータ修正、多人数での同時データ処理が発生しても問題がないようなアーキテクチャになっています。
Excelの悪いところ⑤:データがExcelの世界に閉じてしまうServiceNowの良いところ⑤:データが即座に他システムと連携できる
Excelに入力したデータは外部の分析ツールや外部のシステムに連携する際、基本的にはそのまま連携できず、CSVに変換するか、JSONに変換する必要があります。
ExcelはあくまでもMicrosoft(Microsoft 365)の世界では扱いやすいのですが、一歩でもそこから出ようとすると、データの変換が必要になる場面が多いです。
ServiceNowは1つ1つのテーブル単位(例えばユーザ台帳、PC台帳、のレベル)でWebAPIに対応しており、テーブルを作成した瞬間にそのテーブルに対してAPIコールが使用可能になります。
※個人的にはこれが一番大きいメリットと思っています
Excelの悪いところ⑥:入力時のバリデーションを効かせるのが難しいServiceNowの良いところ⑥:入力規則を柔軟に設定できる
例えば「A列を入力する際は、必ずB列とC列が入力されていること」「ステータスをCloseにするときはCloseした日付が入力されていること」のような、セルを跨いだ入力規則を設定することが難しいです。できるにはできるのですが「マクロ」の手を借りる必要が出てきて、今度は「マクロのメンテナンス」という別の問題が出てきます。
ServiceNowは「Business Rule」「Client Script」などのフロントエンド、バックエンド側の処理ロジックを記載することにより、データと処理を完全に区別することができます。このことにより、データと処理それぞれの独立性が守られ、かつExcelより高度な入力規則や制限を設けることが可能になります。
※ただしこれらのロジックの実装は、一定以上の技術を持つServiceNow技術者が必要になります。これはExcelのマクロ技術者問題と同じ問題になりますが、ServiceNowは必ずしもロジックをハードコードせずとも、ローコードレベルで設定することも可能なので、技術者の養成のハードルはマクロ技術者と同等かそれ以下の難易度と想定しています。
Excelの悪いところ⑦:まっさらな状態から始めなければいけないServiceNowの良いところ⑦:業界のBest Practiceがすぐ利用できる
ごく当たり前の話ですが、Excelは新規作成時は何も情報が入力されていないと思います。
ただ実際には、Excelを使って実現したい目標は、ビジネスの場面であればおおむね似通ったものになると思います。
- 進捗管理のWBS
- TODO管理表(着手前のもの、着手中のもの、着手済みのもの、取り下げられたもの、等)
- 品質分析
- 定例会議に用いるデータ置き場 など
本来、これらのフォーマットはよりよい洗練されたものが世界に1つだけ存在し、それを皆が共有する状態があるべき姿なのではと感じています。
(逆に、皆様の中でも「ステータス」のないTODO表や、やたらめったら関数が埋め込まれたExcelを利用させられて、不満を覚えたことがある方もいらっしゃると思います。)
ServiceNowはモジュールごとに、テーブル構造、処理、画面の見た目の業界標準・Best Practiceをすぐに使用できるというかけがえのないメリットが存在します。
例えばよく使われるITSMの領域であれば「ITIL」というベストプラクティスに則ったテーブル、項目、処理が購入後すぐに利用できます。
「我々は情報をどのように管理すべきか」という問題に思考のリソースを割かずに、日々の業務に専念できるということです。
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